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小説版「ブラック・ラグーン」①②感想 [ラノベ感想]


今週のジャンプはお休み@常磐です。


ジャンプ発売延期は震災で製紙工場やインク工場がかなり被害を受けたためだそうで。
一週遅れくらいで何とかなるのかな…現代日本で物資不足とか想像したこともなかったよ。
あともうご存知の方も多いと思われますが、被災でジャンプの届かない地域のために
集英社が無料でネット配信をしているようですね。最新号ではなく15号だそうですが。

これまで頑なに(いや当然なんですが)ネットでのアップロードを禁じていた出版社が
先週号とはいえ全作品配信とは…いやはや、英断をしたものです。
そういえばNHKやフジのネット中継も元はと言えば現場の担当者の独断を会社が追認
した形で実現したらしいし…硬直的だと思っていた既存メディアもこういう危機的な場面に
おいては意外に柔軟な姿勢を見せるということにちょっと感動してみたりして。

さて、本日は東京でも桜の開花宣言がされたようで。
てか最近それどころじゃなくてすっかり忘れてましたが、もう完全に春なんだよなあ…。
今年は花見イベントも自粛ムードなんだろうけど、せっかく絶好の花見スポット(九段)が
近くにあるんだし、お花見がてら復興祈願でもしてきましょうかね。


それでは、ジャンプ感想の代わりと言っては何ですが「ブラック・ラグーン」小説版感想。
クライマックスの部分とか出来るだけ伏せるつもりではありますがネタバレあるかも。
1作目、2作目まとめていきます。




■■■小説版「ブラック・ラグーン」①②感想■■■


■小説家ウロブチ

著者は最近「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本家として一気に有名になった虚淵玄氏。
(いやまあ私が知らなかっただけでその道の人には結構有名だったらしいですが、
とりあえず一般的な知名度アップのきっかけとしてはまどマギで多分間違いないかと)


個人的にアニメやマンガのノベライズというと、著者の勝手な妄想や解釈が入ったり、
著者のお気に入りキャラがやたらと出張ったり、下手すれば世界観すら無視して進む作品が
多いという印象なのですが、このノベライズに関しては広江氏本人が書いたんじゃないか
と思うくらい原作とイメージのずれもなく、キャラクターの新たな側面や魅力も描きつつ
かつ一つの「作品」として完結している、とてもいい作品だったと思いました。

何でこんなにぴったりなのかなーと思ったらさもありなん、巻末の虚淵×広江対談
答えを発見。なるほど、どちらもメジャーになる前からライバル視するくらいの似たもの同士
だったとか。今回のノベライズでも広江氏から直々に本人にラブコールをしたら
虚淵氏もまた「やるなら俺しかない」と思っていたって…何その相思相愛w

「木と鉄で出来た銃が好き」とか「映画を意識したガンアクション」とか、そういう嗜好が
まどマギでのマミさんのマスケット銃乱射ほむほむの無駄にごつい重火器装備
繋がってるのかもと想像するとまた面白い、かも。


…さて、前置きはこれくらいにして本編感想。



■ブラック・ラグーン① シェイターネ・バーディ


ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)

ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)

  • 作者: 虚淵 玄
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/07/19
  • メディア: 文庫

序盤は時代遅れの海賊やらガンマニアの勘違いヤローやらが出てきて、軽い感じの
コメディ調かと思いきや、中盤からは一転して怒りあり涙あり陰謀に裏切りが入り混じり、
ラストは誇りと誇りがぶつかり合ってなぜか笑いにオチるいつものブラグラで〆。

最初から最後まで命を狙われているのは張さんですが、今回のメインはむしろバラライカ
ソビエト時代の英雄がいかにしてロアナプラの魔女・バラライカになったのか、
かつての仲間との邂逅と望まぬ対立との中で語られる、彼女の過去と現在…

正直原作では彼ら遊撃隊がどうしてここまで彼女に忠誠を誓うのか、そして彼女が
どうしてここまで仲間を大事にしているのかが今ひとつ理解できなかったのですが、
この話を読んでようやく彼らの結束の強さの理由が分かったような気がしました。

あと、人外の多いロアナプラにおいても特に今回人間離れしていた「ニンジャ」について。
初めは「いくらオリキャラとはいえやりすぎじゃね?」と思ったものの、彼がそうなるに
至った経緯を読むと「まあそういうのもありかも(ロアナプラだし)」と思えてしまうから不思議。

まあ終盤の張さんとのやり取りは電車の中で読んでいて思わず吹き出してしまいましたがw
跡部サマの「スケスケだぜ!」のときほど注目を集めなかったからまあいいか。

そしてある意味今作一番の見所…レヴィのアレについてはここではあえて伏せます。
ここまでやっちゃっていいのか?と思ったけど、そのシーンのイラストを描いた広江氏も
なんかもうノリノリな感じだったしなあ。原作では多分見ることはないだろうけどw

てかシェンホアの踵とかアフガン時代の姉御とかレヴィのアレとか、これって全部公式と
考えちゃっていいのかなあ。まあ広江氏のチェックが入っているんだから大丈夫だろうとは
思いますが、こういう大事なネタを小説版でやっちゃっていいのかだけはちょっと疑問。

いずれにせよ勢いのままに一気に読めたし、あとで読み返すと細かいネタや設定、
漫画本編にも繋がりそうな伏線も満載で、非常に意義のある面白いノベライズでした。

つーか本来「原作のある作品のノベライズ」ってのはこうあるべきなんだよね…。



■ブラック・ラグーン② 罪深き魔術師の哀歌


ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)

ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)

  • 作者: 虚淵 玄
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/01/18
  • メディア: 文庫

シリアスだった前作とは打って変わってコメディ調…と思えば終盤は少しハード目で。
まあ”あの”ロットンがメインという時点でシリアスが遠のいてしまうのは仕方ないですが。
もっとも今作の最重要人物を挙げるならばロットンというよりはエダでしたけど。

構成は一つの事件を「とある魔術師の場合」「シェンホアの場合」などといった各キャラクター
が一人称で語るもので、読者には全体像が見えていてもそれぞれのキャラはごく一部だけ
しか見えていないため、一つ一つの言動が危なっかしくてもどかしい。でもそれが面白い。

前作ではいまひとつ影の薄かったロックも今回は結構メインに近いところで出番あり。
つーかロックは本編のあの「ロベルタリベンジ編」からもうこういうキャラで固定なのかしら。
個人的にはもう少し青臭くて傷つきやすいくらいでもいいんだけどなあ。
むしろ最近「傷つきやすい」というポジションはレヴィの方だったりするし。

そして今回はなんと言ってもシェンホア・ソーヤー・ロットンの凸凹凸トリオが楽しい。
何だかんだいってこの話でロットンが好きになりました。あとソーヤーも。
ラストで勝手にもう一人増えたけど、いっそそのままカルテットにでもならないかなあ。
さすがにその辺は本編で小説版の内容についての説明が必要になるから無理か。

また、今作の日常(?)描写にて改めてロアナプラが魔窟であることを確認。
てか店内で乱射があるのまではいいんですけど、死体がでても警察が現場検証はおろか、
警官が顔を出すこともなく専門の掃除屋が勝手に片付けて終わりとか怖すぎ。
大体戦闘シーンよりも日常シーンのほうが恐ろしいってのもすごい話ですよねw

前作が息もつかせぬ銃撃戦なら今回は息の詰まりそうな知略戦ってところでしょうか。
ロックにエダに張さんにバラライカの謀略組がそれぞれ蜘蛛の糸のように策を張り巡らして
いるところに、ゲストやロットン、ニンジャが自由奔放に立ち回っている様がまた楽しい。

ちなみに今回はレヴィの出番は控え目。まあ謀略に彼女の出番はあまりないしね。
個人的にはダッチの立ち回りにも期待していたのですが、流石にこれ以上メインステージに
登場人物を配置すると収拾がつかなくなるということなのか、今回も彼の出番は少なめ。

で、ここで思ったんですが、広江氏が主にかっこいい女を描くことに主眼を置いているのに
対して、虚淵氏はどっちかっつーとかっこいい男の方がメインという印象を受けました。
前作の張さんのエスコートぶりといい、今作のロックやロットンの立ち居振る舞いといい、
本編ではあまりお目にかかれない「男の格好よさ」を感じましたよ。

なるほど、こりゃ周囲の「怖い女」どもが彼らを気にするのも無理はない。
特にロックの将来性ときた日には…ライバルは多いぞ、レヴィ!



- - - - - - - - - -


と言うことで、ブララグ小説版のレビュでした。


個人的にはすごい「当たり」の作品でしたね。
上にも書いたように漫画やアニメのノベライズにはがっかりさせられるものが多く、
こちらとしても半分諦めつつ、まあ設定資料として読めればいいか的な感じなのですが
今回のはまるで広江氏本人が書いてるんじゃないかと思うくらいにイメージ通りでした。

まあ「ニンジャ」とか「時代錯誤の海賊」とか微妙に広江氏っぽくないネタもちらほらあったり
しましたが、あくまでメインキャラに彩を加えるアクセントとしてなら十分許容範囲内かと。


それでは。




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コメント 2

のーねーむ

おお、そんなに良いのなら読んでみようかしら。
本当に、ゲームにしろ漫画にしろ、大好きな作品だとどれだけ地雷だとわかってても買いたくなって、買ったらやっぱり超ガッカリという思い出ばかりで、なので結構楽しみです。
しかしなんというか、どうしてノベライズ化というのは大抵酷い出来、といっては失礼ですが、そんな風になってしまうのでしょうね。
極力キャラに独自の個性をつけないためなのか、毒にも薬にもならない作品とか読むたび空しくなって……ああもう。
せめてもう少し、毒でも何でもいいから濃く書いてええええ!と叫びたくなりなます……

ああ、でもJOJO×乙一氏のThe Bookは結構楽しめた思い出が、やはり面白くするには作品に対する愛が必要なのでしょうか

と、まあどうでもいい愚痴をだべってしまってすいません。とにかく読んでみますーでは
by のーねーむ (2011-03-29 02:02) 

常磐

>のーねーむ様
あくまで個人的感想でということですが、かなり面白かったですよ。
内容の濃さという意味でも結構なものでしたし。

>JOJO×乙一
すごい異色の組み合わせですね…ちょっと読んでみようかな。
情報ありがとうございました。
by 常磐 (2011-03-29 21:05) 

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